医療機関での待ち時間を短縮。会計DXで患者満足度を高める

医療機関での待ち時間を短縮。会計DXで患者満足度を高める

病院・クリニックなどの医療機関の経営において、患者の離脱を防ぎ、満足度を高める鍵は「会計待ち時間の解消」にあります。デジタル技術を活用した会計DXは、オンライン決済や自動精算機などの導入により、患者の会計待ち時間を劇的に短縮し、同時にスタッフの業務負担を軽減します。

日経リサーチの調査によると、医師の約9割が医療DXの重要性を認識する一方、積極的に取り組む医療機関はわずか6.1%にとどまります。 しかし、既にDXを活用する先行機関の約4割(39.8%)は、電子処方箋などを抑え「キャッシュレス決済」に最も高い導入効果を実感しています。

ハードルが高いと思われがちな医療DXですが、オンライン決済や自動精算機などの導入から着手することは、患者の強いキャッシュレスニーズに応えつつ、現場の課題を解決する「最も確実な第一歩」です。他院に遅れをとらず、確かな導入効果を得るためにも、まずはこの「会計DX」から変革を進めていく必要があります。

【本記事のポイント】

  • 患者ニーズの核心: 73%の患者が会計待ちにストレスを感じており、「10分以内」の完了を熱望している。
  • 経営基盤の強化: 2024年4月から施行された「医師の働き方改革」に伴い、事務部門の生産性向上が不可欠。
  • 強固な信頼基盤: デジタルガレージ・りそなHDとの共同運営による「CurePort」を通じ、DGFTが医療業界の決済インフラを支える。

まとめ

会計DXは未来への「資産」となる投資

会計DXは、単なる支払い手段の変更に留まるものではありません。それは、次世代の医療機関経営基盤を刷新するための「戦略的投資」です。

短期的な導入コストに目を奪われるのではなく、導入によって得られる「スタッフが本来の業務に注力できる時間」「患者の継続利用」「正確な財務管理」という長期的な資産価値に目を向けるべきです。少子高齢化が進み、医療資源が限られていく中で、デジタル技術を味方につけた医療機関こそが、患者様に選ばれ続ける、競争力のある医療経営を実現できると言っても過言ではありません。

1. 医療機関に会計DXが求められる背景

個別の医療機関の努力だけでは対応しきれないスピードで、現在、医療業界全体を取り巻く環境が激変しています。なぜ今、会計DXが「避けて通れない課題」となっているのか、3つのマクロ視点から解説します。

「医療DX令和ビジョン2030」と政府のキャッシュレス目標

政府は2030年を見据え、保健・医療・介護の情報を全国一貫したプラットフォームで共有する「医療DX令和ビジョン2030」を推進しています。その実現に向けた政府の重点計画(※1)や提言においても、窓口業務のキャッシュレス化は「国民の利便性向上」と「現場の業務効率化」に不可欠な要素として位置づけられています。

政府が掲げていた「2025年までにキャッシュレス決済比率40%」という第一目標は、2024年時点で42.8%に達し、前倒しで達成されました。将来的には世界最高水準の80%を目指すと宣言しており、医療機関もその潮流の例外ではありません。

出典※1『デジタル社会の実現に向けた重点計画』『重点政策一覧

「医師の働き方改革」施行による業務効率化の義務化

2024年4月から本格施行された「医師の働き方改革」により、時間外労働の上限規制が厳格化されました。これは医師のみならず、看護師や事務スタッフの業務負担軽減も急務であることを意味します。

会計DXによるレジ締め作業の自動化や現金管理の撤廃は、スタッフが本来の診療補助や患者ケアに集中できる時間を創出し、医療の質を維持しながら労働時間を短縮するための現実的な解決策です。

消費者行動の変化と「選ばれる医療機関」の条件

パンデミックを経て、社会全体で「非接触・非対面」がスタンダードとなりました。かつては、病院での現金払いは当たり前でしたが、現在はあらゆる決済がスマホやカードで完結することが標準(ニューノーマル)です。

今や人々にとって、スムーズな会計は「医療機関のホスピタリティを測る重要な指標」となっており、ストレスのない決済体験が、患者さまからの継続的な信頼や医療機関の評判を形成する重要な要素となっています。

2. なぜ待ち時間は短縮されないのか?医療機関の現場課題

診察が終わっても、会計のために長く待たされる——。この「最後のがっかり感」が、患者満足度を下げ、再来院の機会を逃す要因となります。

数字で見る患者の不満:73%が感じる「会計ストレス」

グローリー株式会社の調査によれば、診察後の工程について患者の73%が「会計の待ち時間がストレス」と感じており、大多数が「10分以内で終えてほしい」と回答しています。診察までの待ち時間は不可避な側面もありますが、診察後の事務的な待ち時間は、DXによって削減可能な項目です。

需要と供給のミスマッチ:患者さまの68.9%が希望する「医療機関のキャッシュレス化」

医療機関における決済環境は、患者さま側の強い期待に対して、依然として供給が追いついていないのが現状です。

株式会社APOSTROが実施した調査によれば、病院などでの支払い時にキャッシュレス決済を希望する方は68.9%に達しています。しかし、厚生労働省の最新調査(2024年公表)を紐解くと、実際の導入状況には大きな隔たりがあることが分かります。

■ 医療機関の種類別:キャッシュレス決済導入率 病院と診療所では、その導入傾向に以下のような違いが見られます。

  • 病院における導入状況
    • クレジットカード決済:62.6%
    • コード決済(QRコード等):5.7%
  • 診療所(クリニック)における導入状況
    • クレジットカード決済:32.8%
    • コード決済(QRコード等):9.6%

病院ではクレジットカードの導入が一定数進んでいるものの、コード決済の普及率は極めて限定的です。一方、診療所においてはクレジットカード自体の導入率も4割に満たない状況にあります。

このように、多様な決済手段を求める患者さまのニーズに対し、医療現場の供給は不足している状況といえます。特に、利便性の高いコード決済などへの対応は、他院との差別化や患者さま満足度の向上に直結する重要な経営課題といえるでしょう。

アナログな会計業務が招く「隠れた人件費」の正体

手作業による現金の数え直し、違算の確認、入金消込作業、これらアナログな会計業務には、日々膨大な「目に見えないコスト」が発生しています。会計担当スタッフが毎日30分レジ締めに費やしている場合、年間で180時間以上が、付加価値を産まない「現金管理」という作業に消費されていることになります。

3. 徹底比較:アナログ運用 vs 会計DXによる工数削減シミュレーション

手作業によるアナログ運用と、DXツールを導入した運用では、具体的にどの程度の差が生じるのでしょうか。一般的な医療機関の1日あたりの業務フローを想定し、工数を比較しました。

業務プロセス

アナログ運用

会計DX導入後

削減される工数・付加価値

会計準備・現金の授受

釣銭の確認、現金の手渡し。

自動精算機・オンライン後払いなどでのセルフ決済

1件あたり約1〜2分の短縮。計算ミスや受取ミスがゼロに。

レジ締め(中間・終業時)

現金の数え直し、売上データとの照合、違算の確認

決済データとの自動照合。ボタン一つで集計完了

毎日30分〜60分の削減。違算調査に伴う精神的ストレスを解消。

入金消込・事務処理

会計システムのデータと領収書を手作業で突合

決済データと会計システムのAPI連携による自動突合

月次で数時間の削減。事務スタッフの残業抑制に直結。

銀行への入金・両替

頻繁な外出(現金搬送リスク、待ち時間)

現金取り扱いの最小化により、外出頻度が激減

週に1〜2時間の削減。搬送に伴う防犯リスクも大幅低減。

合計(年間換算)

年間 約200〜300時間

大幅な自動化により最小限に

年間でスタッフ約1名分の数カ月分に相当する工数を削減。

このように、会計DXの導入は単なる「決済手段の追加」に留まりません。スタッフが会計という「作業」に縛られる時間を、患者様とのコミュニケーションや診療補助といった「医療の本質的な業務」へ転換するための、極めてROI(投資対効果)の高い判断となります。

4. 会計DXがもたらす5つの経営メリット

会計DXの導入は、単なるツール導入ではなく、以下のような多角的な経営メリットをもたらします。

1. 患者満足度の向上と「待ち時間ゼロ」による差別化

事前に診療予約アプリなどで、支払い用のクレジットカードを登録しておくことや自動精算機を導入することで、「診察が終われば会計を待たずに帰宅できる」という体験を提供できます。このユーザー体験の向上は、再診率の向上だけでなく、好意的な口コミによる新規患者の獲得にもつながります。

2. 医療スタッフが診療補助や患者ケアに集中できる環境の創出

煩雑なレジ業務や入金管理からスタッフを解放することで、本来の専門業務である診療補助や患者へのきめ細やかな対応にリソースを割くことが可能になります。これはスタッフのエンゲージメント(組織への愛着心・貢献意欲)向上と離職防止にもつながります。

3. 厳格な現金管理からの解放とセキュリティ・ガバナンスの強化

現金の取り扱いを最小化することで、盗難リスクやヒューマンエラーによる数え間違いを大幅に低減できます。また、決済データがデジタルで一元管理されるため、経営の透明性が高まり、監査対応もスムーズになります。

4. 感染症対策としての「非接触」の標準化と衛生管理

不特定多数が触れる現金の受け渡しをなくすことは、院内感染リスクの低減に直結します。非接触決済の標準化は、患者のみならず、最前線で働くスタッフの安全を守るための「福利厚生」とも言える施策です。

5. 補助金・助成金の活用による投資コストの最適化

「IT導入補助金」「働き方改革推進支援助成金」などを活用することで、システム導入にかかる初期投資を大幅に抑制できる可能性があります。これら公的支援を活用したデジタル投資は、ROI(投資対効果)を最大化させる賢明な経営判断となります。

デジタルガレージグループが展開する医療機関向けDXソリューション

株式会社デジタルガレージと、りそなホールディングスの共同事業として、医療機関向けDXサービス「CurePort」を提供しています。DGFTはこの強力なアライアンスの中で、決済インフラの構築とセキュアな運用を全面的にサポートしています。金融大手の信頼性と最先端のIT技術が融合したソリューションは、医療機関にとって極めて安心できる選択肢の一つです。

医療機関向けサービス「CurePort」の決済を全面サポート

「CurePort」は、医療機関で利用できるオンライン決済サービスです。医療機関は、「CurePort」を導入することで、簡単にキャッシュレス決済を導入でき、患者様は専用アプリに診察券番号とクレジットカード番号等の決済情報を登録することで、診療後の支払いを迅速かつスムーズに行うことが可能となります。「CurePort」が医療機関から選ばれる主な理由は3つです。

  • かんたん導入 受付機や精算機の設置が不要なため、ITに詳しい専門担当者がいなくても手軽に導入いただけます
  • 業務負担軽減・混雑緩和 窓口における会計手続きを減らし、待合室の混雑を緩和します。業務集中時には会計対応を後回しにでき、医療報酬算定ミスへの対応も可能です。
  • 未収金抑制 事前に患者様の情報やクレジットカードの有効性を確認するため、医療報酬が未収となるリスクはほとんど発生しません。

その他幅広い決済シーンを補完する「Cloud Pay Neo(クラウドペイネオ)」

DGFTでは、医療特化型の「CurePort」に加え、幅広い業種で活用されている汎用性の高い決済ソリューション「Cloud Pay Neo(クラウドペイネオ)」も提供しています。

「Cloud Pay Neo(クラウドペイネオ)」は専用端末を必要としない「端末レス決済」サービスです。紙などに印字したQRコードをお客さまが読み取るだけで、クレジットカードやID決済での支払いが完了します。

最大の特長は、システム開発や端末の準備・手配が不要な点です。DGFTとの契約のみで手軽に導入でき、故障や持ち運びの煩わしさもありません。店舗だけでなく、訪問サービスやイベント、災害時のバックアップなど幅広いシーンで活用可能です。多様な決済手段を一括導入できるため、利便性と業務効率を同時に高められます。

このように、DGFTでは医療特化型の「CurePort」に加え、業界問わず汎用性の高い「Cloud Pay Neo(クラウドペイネオ)」など、事業者さまの運用形態に合わせた多様な決済ソリューションを取り揃えています。

対面・非対面を問わず、それぞれの現場に最適な決済環境を導入することは、会計待ち時間の短縮だけでなく、スタッフさまの業務負担軽減や未収金リスクの抑制にも直結します。

DGFTは、国内最大級の決済取扱高を支える堅牢なインフラと高度なセキュリティにより、医療従事者の皆さまが本来の業務に専念できる「医療DX」の実現を、決済の側面から強力にバックアップします。

DGフィナンシャルテクノロジーの決済サービスについて

詳しく知りたい方はこちら

まとめ

会計DXは未来への「資産」となる投資

会計DXは、単なる支払い手段の変更に留まるものではありません。それは、次世代の医療機関経営基盤を刷新するための「戦略的投資」です。

短期的な導入コストに目を奪われるのではなく、導入によって得られる「スタッフが本来の業務に注力できる時間」「患者の継続利用」「正確な財務管理」という長期的な資産価値に目を向けるべきです。少子高齢化が進み、医療資源が限られていく中で、デジタル技術を味方につけた医療機関こそが、患者様に選ばれ続ける、競争力のある医療経営を実現できると言っても過言ではありません。

よくあるご質問(FAQ)

  • 導入費用や手数料などのコストを上回るメリットはありますか?

    はい、長期的な経営改善において大きなメリットがあります。 初期投資や決済手数料は発生しますが、年間200〜300時間におよぶ「現金管理工数」の削減は、人件費換算でスタッフ数カ月分の業務工数分に相当します。さらに、会計待ち時間の解消による「再診率の向上」や「良好な口コミの拡散」といった増収効果、およびレジ締め等の心理的負担軽減による「スタッフの離職防止」など、数字に表れにくい経営資産の保護にも直結します。

  • オンライン決済や後払い決済を導入することで、未収金が発生しやすくなることはありませんか?

    むしろ、未収金リスクの低減につながります。 「CurePort」による後払い決済では、患者様が事前にクレジットカード情報を登録し、システム側でカードの有効性を確認した上で決済が行われます。窓口での「財布の持ち合わせがない」といった事態を防げるだけでなく、決済データがデジタルで一元管理されるため、万が一の際も迅速な追跡が可能です。結果として、手作業での管理よりも確実な債権管理が可能になります。

導入をご検討中の方は
お気軽にお問い合わせください

各種サービスに関しては資料ダウンロードから、費用や導入に関するご相談はお問い合わせにてご連絡ください。